イスラームと鯨(2014.10.1)



 ハラール認証鯨肉を使った料理の試食会が大阪で開かれた。日本の捕鯨が世界的に肩身を狭くする中で鯨食をPRするのと、イスラームで食べることが認められるハラールを日本でも拡大しムスリムと交流を深めるのが狙いだ
◆先日の国際捕鯨委員会でも、日本側は資源の厳重管理や個体数増加のデータなどから調査捕鯨継続を表明した。試食会でも主催者の捕鯨会社は我が国固有の食文化を強調。クジラのステーキ、唐揚げ、燻製から刺身、握り寿司、はりはりうどんまで盛りだくさんの料理が並んだ
◆一方、国内ではイスラームへの理解を深める動きが広がり、空港など公共施設に礼拝場所を設置し、ホテルやレストランがハラール認証を受けるケースが増加。ムスリム観光客向けにそれらの情報を配信している観光地もある
◆会にもインドネシアやバングラディシュ、アラブ圏から多くのムスリムが参加。ムハンマド時代に飢えた旅の使徒たちが海岸に打ち上げられたクジラを食べた逸話や、教えでは人が天国に行った際最初に食べるのがクジラの肝臓の切れ端だとハディース(教祖の言行録)に記載されているということを聞いた
◆会食は互いの文化を知る格好の機会。これでイスラームへの無理解や世界の反捕鯨傾向が軽減されればと思う。ただ、イスラームで禁忌とする酒を飲むため別室へ繰り出した日本人参加者が多かったのが残念だが。 (北村敏泰)


中外日報連載コラム 風鐸

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